食費を節約する3つのコツ!料理の献立の決め方【栄養管理士が伝授】

料理

皆さんは食費の節約と言えば、何を思い浮かべるでしょうか。「節約」という言葉には「切り詰めた」「ぎりぎり」などの、努力が必要であるイメージがあるかもしれません。

1日3食もやし生活、よくて3食卵かけご飯を毎日よく噛んで食べる…。

お金を使わない食事となると、一人暮らしの人は特に、安価な食材を調理せずにそのまま食べるなんてこともよくある話です。また、お金のことばかりを気にして、健康をくずしてしまっては節約どころではありません。食費を節約する上では栄養のバランスを考えることも重要です。

節約をしながら栄養のバランスも考える。これは苦労が必要なものではなく、少しの工夫でできるものです。もし、「もう少しお金があったらいいな」「最近食費に使いすぎてるな…」そう感じるのであれば、食費の一部を自炊して節約してみるのも1つの選択肢です。

今では、新型コロナウイルスの影響から、外食ではなく、自炊をする機会が増加しています。日本人の収入に対する食費の割合は、実は1世帯当たり月収の約24~28%。令和2年度「厚生労働省家計調査年報」より)月収が20万円ならば、平均して5万円前後、月収30万円ならば、平均7.5万円前後が、食費の支出になる計算です。食費5万円と言えば、1日1000円少し使えば簡単に超えてしまいますね。

このような結果が出ているものの、食費はなんと月収の約15~20%がバランスが良いと言われています。

月収の約10%の節約できればかなり大きなメリットです。

自炊をして調理スキルが身につくうえに、お金も手に入る。しかもたのしい!となればいいことづくしですね。

それでは栄養管理士として働く私が、食費を節約するポイントや、バランスのとれた献立の決め方を紹介していきたいと思います。

食費節約のために忘れてはいけない5つのポイント

節約のポイントとは

食費を節約する方法はただ安いものを選ぶ、だけではありません。食材を買うときに気を付ける節約のポイントを5つ紹介していきたいと思います。

買い出しは1週間おきに、予算分のお金を持参

持ち歩くお金を必要最低限に留めるのは節約方法のひとつです。これは無駄遣いが減るためです。

お金は使うから無くなります。欲しいものが目に入ったとき、買えるお金が無ければ買うことができないので、自然と節約になるのです。お財布にお金があれば、使ってしまう、という方にはおすすめです。お金がない月に、友人や同僚からの外食の誘いを断る理由にもなります。

まず、買い物に出かける前に月の食費を決めます。予定した食費から、1週間ごとの食費を計算し、買い物するときに必要な金額のみを持って出かけるのです。

そして、1週間ごとに区切ってまとめ買いをしましょう。買い物の回数が少なくなり、誘惑が減るため節約に繋がります。自宅に帰ったら、使いやすい大きさに切ったり、加熱・冷凍したりして、いつでも使えるような状態で保存しておくのがよいです。

1回火に通しておけば、殺菌効果もさながら、いつでも食べられる状態になるので便利になります。冷凍したものを加熱して使用するときは、常温に戻してから使うと急に温度が下がらずスムーズに調理ができるかと思います。

メニューを決めて買いに行かない

献立を決めて買い物に出かけないのも1つの節約方法です。献立を決めた方が計画的にも思えますが、なぜでしょうか。

実は、献立を決めてから買い物をすると、余った食材の使い方が難しくなります。残った野菜で作るのが難しいので、買い足しに行くシチュエーションになりやすいのです。よって、その日のお買い得品、季節の商品を買い、家に帰って献立を考えるほうが安上がりです。

しかし、お買い得だからといって何でもかごに入れるわけではありません。

メインの主菜(肉や魚などのたんぱく質)を日数分、加えて野菜や果物、海藻類などを適量選ぶことがポイント。栄養のバランスもよくなります。缶詰、冷凍食品は使い勝手がよく、いくつかあると便利です。

また、調味料(唐辛子、マヨネーズ等)は保存がきき、たくさんの種類があると味のバリエーションが増えて便利です。しかし、減りにくい食材でもあるので、まとめ買いはやめておくのがよいですね。

価格に自分なりの基準を

買い物をするときに、購入する基準の価格を決める方法も節約に繋がります。判断に迷いがなくなるので、時間短縮にもなるのです。

近所のスーパーを全てはしごする必要はありませんが、スーパーのチラシを見ると、一番安い食材やお買い得品が分かりやすく書いてありますね。特に安くなっているものが大きく書いてあるので、チラシは便利な判断材料です。買い物を何度かするうちに1つの食材の値段帯が分かってきます。

値段帯が大体わかったところで「卵10個が200円以上するなら買わない」などと、自分の基準を作ってみるとよいですね。

食材の買い出しに行く前にはあめを食べる

あめを食べることでどう節約になるのか、一見分かりづらい行動です。実は、お腹が空いている状態で食材を目にすると、何が必要で何が必要でないか判断が鈍り、買いすぎに繋がります

みなさんはこのような経験をしたことはないでしょうか。

朝から晩まで仕事が忙しく、残業を終え、やっと帰宅しようと思っていた矢先。牛乳を買うのを忘れていたことを思い出します。コンビニが近くにあったのでふらっと寄ってみたところ、プリンを発見しました。お腹が空いているからかとてもおいしそうに見えます。ごはんの後に楽しむのも悪くないと思い、牛乳と一緒にプリンを一緒にレジまで持って行きます。

つまり、本来買う予定がなかったのにたくさん買ってしまい、食べるときになってこんなに要らなかったかも…と思う現象のことです。

この場合では、コンビニに入らなければプリンを買うことはありませんでした。お腹が空いている状態で食材を目にするとどんなものでも美味しそうに見えるものです。これは、どんな頭がいい人でも、計画を実行するやる気があっても人間なら共通の現象です。無駄なストレスを感じないように、お腹が空いている状態で買い物に行かないことで無駄な出費を減らせます。

お腹が空きそうなときはあめやチョコなどを口に入れ、買い出しに行くといいですね。

値切りに挑戦してみる

値切りをすることも食費を節約する方法のひとつです。八百屋のような小さいお店では買い物をするとおまけをくれたり、交渉次第で値切りが成功したりします。地域の人とのつながりができるメリットもあります。

値切ることは慣れない人にとって少しハードルが高いですね。おしゃべりを楽しむ感覚で「割引できないか確かめるだけ」と思えば恥ずかしさはいくらか減ります。

「すごく色味もよくて新鮮で、おいしそうで買いたいと思ったけど….予算よりちょっと高いんですよねー」などと上手に伝えたら問題なしです。

節約献立はこう決める

節約献立の決め方

ここまで、食材の調達をするときの節約術を紹介してきました。次は献立を作る段階です。献立を作る際は、主食、主菜、副菜、汁物が揃うように考えていきます。

献立を作るときには主食、主菜、副菜、汁物を必ず揃えなくてはいけないわけではありません。時には、汁物に主食を入れてみたり、主食に野菜や肉をたくさん入れ、副菜を無くしてみたり。「こうしなければならない」をやめ、料理を楽しむよう心がけると、ナチュラルでおいしい料理が出来上がります。

とはいうものの、いきなり冷蔵庫にある食材で何か作ろうと思うと、どう考えていいのか分かりません。次では実践できる献立作成のコツを3つ紹介していきます。

前日の残り物や冷凍食品は時短に最適

前日にカレーを作れば、次の日はチーズとごはんを加えてこんがり焼いてカレーグラタン。サバの味噌煮を作れば残り物をほぐして、ねぎとごはん、卵を加えてサバチャーハン。冷凍食品のから揚げと、焼いたねぎ、ピーマンを串にさして焼き鳥風。

上記に挙げたような工夫で、前日のリメイクや、冷凍食品を使った1品を考えてみます。この時、すでにある料理をイメージして、一部を似た食材に替えるもしくは新しい要素を付け加えるイメージで作ると考えやすいです。先ほど挙げた例でいえば、カレーグラタンはグラタンにカレー味をつけ、サバチャーハンはチャーハンのチャーシューをサバに替えました。汁物で言うと、ポタージュの上に乗せるものはクルトンでなくとも、焼いたパン粉やナッツなどでもおいしいでしょう。食感や味が似ているものは、合いやすいです。

手間のかかる料理を作らなければいけない理由はありません。もともとある料理をヒントに自分流で考えてみましょう。

リメイク料理はいろいろな味を楽しめるため、飽きにくいというメリットがあります。例えば、ひき肉を炒めておいて保管しておくととても便利です。ソースに、グラタン、ハンバーグ、炒め物やスープにもうまみを出すために使用できます。

もし思いつかないときは、インターネットや雑誌、テレビを参考にしてももちろんOKです。作ってみたいと思ったときにはどんどん行動に移して、そこからアレンジしてもいいですね。

どんなものを作りたいか、想像しよう

1品はクリアしました。あと2~3品…。考えようと、頭をひねっても思いつかないときもあります。いきなりゴールを目指すのはハードルが高いものです。

献立を立てるときには、まず味付けや作り終えた姿をイメージします。副菜を作るときには中華風にするのか、和風にするのか、汁物を作るときにはポタージュか味噌汁か、などです。この時、できるだけ彩りを豊かにすると見た目がよくなるだけではなく、栄養バランスも自然と整います。

具材選びのポイントですが、うま味がでるもの(肉やねりもの、魚など)を1種類入れると味にぐっと奥ゆきがでます。献立のうち1品か2品入れてみるといいですね。

うま味は美味しく作るうえでとても重要です。うま味を入れない副菜や汁物を作るときはかつおだし、昆布だしなどのお出汁と一緒に味付けると美味しくなります。昆布だしはまじめにとると20分程度かかりますが、時間がないときは出汁パックで十分です。

味付けでは、香り高いものやスパイスを効いたものを1種類加えるとアクセントが付き、メリハリが出ます。1回の食事の中でこの副菜は塩味、このスープはみそ味など変化をつけると食べるときの楽しみが増してよいですね。

味つけに関しては、分量を以下の割合で作ると自然とおいしく感じると言われています。しかし、味の好みは人それぞれ。1度試してみて自分好みの割合に調整するとよいですね。

  • 塩味…汁物0.8%、主菜・副菜料理は1~1.2%、甘い煮物1.2~1.5% 
  • 甘味…煮物3~4%、甘煮5~6%    
  • 酸味…酢として5~8%    
  • 炒め油…2~5%、中華炒め5~8%                           

私は試した結果、甘煮に含まれる砂糖の量は少し多めだと実感し、さつまいもの甘煮など作るときは半分量にしています。野菜は時間をかけて火にかけることで甘味がでてくるものが多いので、甘味は控えめにするとちょうどよいです。

調味料は加えた後も少し火を通すと香ばしくなります。炒めものなど火を通す調理法を使用する際は、最後に調味料を加えて少しだけ火を通してから完成させると風味よく出来上がるのでよいかと思います。

作る順番を決める

自炊するうえで、どうしても電気代・光熱費が、外食よりもかかることは避けられません。しかし、工程を決めることで、効率よくコンロや水を使うことができます。

ポイントは手を止めないことです。一度右手で包丁を持ったらすべての食材を切り終えるまで包丁は手放しません。洗い物が出たらすぐに片付ける、片付けながら料理を作ります。献立に生肉があるがある場合、包丁を洗うのが大変なので、野菜などを先に切って進めてください。

調理の時に使うコンロは基本1つだけです。2つ使う方が確かに時短になるのですが、うまく順番を決めれば1つのコンロでスムーズに進めることができます。野菜を茹でている鍋で茹で卵も一緒に作ってしまうなど、1つの鍋で複数の工程を進めてしまいましょう。

節約料理のコツ!

食材の買い出しから献立を作るところまでのポイントを見てきました。節約料理を作るときにもコツがあるので、紹介していきます。

節約に適した食材

まずは野菜についてですが、節約には旬の野菜と、根菜が便利です。野菜には最もおいしい季節があります。

             旬の野菜
アスパラガス、たけのこ、セロリ、水菜、うど、あしたば、じゃがいも など
きゃべつ、ズッキーニ、とうもろこし、トマト、なす、モロヘイヤ など
しめじ、かぼちゃ、さつまいも、れんこん、舞茸、ごぼう、きくらげ など
かぶ、大根、カリフラワー、小松菜、ねぎ、にんじん、れんこん、えのき など

旬の野菜を使うことで長持ちします。野菜と同じく魚も旬が一番おいしいです。旬のものは見えやすい場所に置いてあったり、ラベルが貼ってありますが、分からない場合はお店の人に聞いてみるのが早いですね。

また、野菜の中では葉物よりも根菜が腐りにくい野菜です。まとめ買いする際には根菜を主に購入し、葉物を買った後は新鮮なうちに使い切ります。

また、ツナ缶・サバ缶は安価にも関わらず味付き、調理済みの食材なので、ストックしておくとよいかと思います。殺菌がしてあり、密閉されているため長期に渡って保存ができます。非常時にも使えるため、まとめ買いしても差し支えありません。

野菜の葉や芯を具材にする

大根やかぶの葉を炒め物に一緒に加えたり、ロスが出るところを減らすことで節約に繋がります。しかし、1つ注意が必要です。いくら野菜は捨てるところがないとはいえ、おいしく食べられない部位もあります。ブロッコリーの茎の一番外側、キャベツの一番外側の葉などは固く、とても食べにくいです。捨てるところは捨てて、食べられるところは美味しくいただいてください。

汁物や麺類は具沢山にすると栄養豊富になります。「副菜を考えるのが億劫だな…」と思うときいには、麺類に野菜、肉、スープをすべて含めてしまいましょう。日々の節約には楽をすることもまた、必要なのです。

一人暮らしの節約術

一人暮らしの人は時間が無かったり、自炊をすると作りすぎてしまったりしますよね。怒られることもないから、カップラーメンで手軽に済まそう、となるのも自然な話です。カップラーメンもたまには良いですが、将来どんなお腹になるのか心配になります。ラーメンは脂質、糖質を兼ね備えた、生活習慣病のもとなので注意が必要です。

それはさておき、一人暮らしの自炊で一番優先することは、「手軽に作ること」です。

夜ご飯を作るときは2人分作り、次の朝食にしてしまいます。夜がお鍋であれば、次の日は卵を落として雑炊にするのもいいですね。おつまみのさきいかを買ってきて晩酌をしたついでに、セロリとさきいか、酢醤油であえて副菜を一品。

また、野菜を使用するときは皮をむかずにそのまま調理する方法をおすすめします。ジャガイモの芽などは摂取するとお腹を壊すのでとりますが、基本的に皮は食べられるものが多いです。固い皮以外はきれいに洗うだけで食べることができるし、時短にもなります。

食費節約術のまとめ

節約するポイントは意外にもたくさんあります。気になる料理があれば、自分で調べ、実践してみると楽しいです。食べることがすきであれば、外食したときの味を家にある材料で再現したり、アレンジしたりすることもできますし、趣味の幅が広がりますね。

実際、どれくらいの節約になるのか具体的に例えると、仮に年収400万円、外食もそれなりにする人が月に収入に対して26%程度使っている場合。食費を17.5%にすることで、30万円弱もの節約になります。もちろん、いきなりこの割合で節約するのは、大変なので徐々にでも食費の節約に挑戦していけたらいいですね。

料理はコツをつかむと、充実したものになります。さまざまな食材を組み替え、楽しみながら節約料理を実践してみましょう。

Q
子どもと買い物に行くとつい無駄遣いしてしまう…
A

子どもの「ほしい!」という気持ちに応えているときりが無いですね。こんなときには、親子の間でルールを決めておきます。「月500円まで買ってあげる」と決め、月のうちにどのように使うかは子どもに決めさせます。

こうすることで、子どもの計画性が育つだけではなく、算数につよくなる、というメリットも。まだ子どもが小さく、計算ができないのであれば、チケットを作って1回200円までと決めるのもよいです。上限があることを知ると、おねだりが減ります。買ってもらえる楽しみを覚えるので、将来お金を大切に使えるようになるかもしれませんね。

Q
夕食を作るのが面倒…。家族にバレずに楽をするには?
A

すべて一から作ろう、と思うとどの料理も大変です。市販の天ぷらをこっそり切って盛り付けたり、既製品を上手に使いましょう。手抜きがバレそうなときは、家族のすきなデザートやフルーツを用意してあげると「手抜き感」を感じさせず、喜ばれます。

また、パン祭りやバーベキューの日、など特別感あるイベントにしてしまうも1つの方法です。季節に合わせて月見だんごや七草がゆなどを作ってみると食事を楽しめます。

Q
よく言われる「バランスのいい食事」ってなに?
A

「バランスのいい食事」とは、人間が健康で生活するために必要な栄養素が十分に含まれている食事のことです。炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維のことを言います。難しいことは考えず、カラフルに、品目をたくさん作ると自然と整います。

Q
子どもの給食で食べる昼ご飯と、夜ご飯が同じメニューのとき、子どものテンションが下がる…
A

月の給食予定表を事前にチェックして、ダブらないものを作るとよいです。それでもダブってしまったときは、例えばカレーにスパイスを足し、なおかつカレーうどんにするなどつけ足しアレンジをします。

Q
あともう1品ほしい!あるものでアレンジする方法は?
A

野菜などは使い切るのが難しく、あまりがちですよね。どの野菜でも漬物はオールマイティー。彩りも加わりますし、野菜もたっぷりとることができます。

ビニール袋に野菜を食べやすい大きさにしてから水をきって入れ、塩一つまみ加えます。袋ごと30回ほどもみ、1時間ほど寝かすとできあがりです。軽く水をきっていただきましょう。

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